9月1日 防災の日・特別企画
オクレンジャー × 信州大学 吉谷純一 教授

信州大学 吉谷純一教授に聞く
「従業員と企業を守る」
BCP策定・安否確認のポイント

地震や風水害をはじめ、日本では多種多様な自然災害が頻発しています。
企業において、災害時に従業員の安全を確保し、事業を継続するための事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定は、もはや必須といえるものとなっています。

災害発生時には迅速かつ正確な情報収集を行うと同時に、安否確認を行うための体制構築やツールの活用が非常に重要です。
今回は、「防災の日」の特別企画として、信州大学工学部水環境・土木工学科の吉谷純一教授(以下、吉谷先生)にインタビュー。
BCPの策定や運用にあたってのキーポイントなどについてお話を伺いました。

Business Continuity Plan

プロフィール

吉谷 純一 教授 イメージ

所属 信州大学工学部水環境・土木工学科 教授
流域治水研究センター長/地域防災減災センター 地域連携部門長

名前 吉谷 純一 教授

1983年、北海道大学土木工学科卒業。
1995年、カリフォルニア大学デービス校土木環境工学科修了。
1983年、建設省(現:国土交通省。以下、本文では国土交通省に統一)入省。
土木研究所、国土技術政策総合研究所、京都大学防災研究所などを経て、2016年より現職。
主な研究分野は、河川計画、水文予測、防災、水資源政策など。

信州大学 工学部 吉谷研究室について

  • 経営者自らが関与し、実効性の高いBCP策定を、常にアップデートしていくことが大切

    吉谷先生のご研究内容を教えてください。

    元々は国土交通省の研究所で河川水文(※1)や米国を中心とする世界各国の水資源政策の調査研究をしていました。
    その後、発展途上国に防災技術を伝えるユネスコ後援の国際センターの設立にも携わった関係から、途上国の水害対策や防災について研究していました。
    現在は、千曲川の東日本台風災害に関連する教育研究を主に行い、大学の他の先生方と共にアフリカの水環境についても研究しています。

    ※1 地球上の水循環を主な対象とする地球科学の一分野である水文学を基礎とし、河川の計画や管理に応用する分野

    日本の災害は多様ですが、どのような特徴がありますか。

    日本は世界的に見ても災害が多い国と言えます。日本は環太平洋造山帯に位置し、多雨地帯に位置します。
    火山活動が活発で地質も脆いため、侵食した土砂が堆積して平野ができ、その上に都市が形成されているという特徴があります。
    そのため日本の都市は水害が起きやすいことが特徴です。

    災害大国・日本の企業ではBCPの策定が重要視されています。
    企業がBCPを策定する際に重要なポイントを教えてください。

    BCPは災害発生後の復旧を早め、被害を最小限にするためのものです。
    ただBCPを策定しただけでは不十分であり、現実に即した実効性の高い計画や対策を立てることが重要になります。
    実際、私も企業のBCP策定に協力する中で苦労したのが、「想定最大外力(※2)」の設定とその対策です。
    水害の場合はまず浸水が発生した時に想定される「浸水深」を設定しますが、工場であれば浸水深が1階でとどまるか、あるいは2階も浸水するかで取るべき対策は大きく変わります。
    幸いに、現在は想定最大規模や計画規模の浸水深が簡単にわかるようになりました。
    この浸水を想定した対策の事前計画が、いざという時の行動の要となります。
    事業継続の最優先は、社員・従業員の人命を守ることですから、対策の第一歩は安否確認です。
    実際に災害が発生しそうなとき、人命第一で避難するか、事業所に残って災害対応するかの判断は最も難しいところであり、重要なポイントとなります。

    ※ 令和元年台風第19号千曲川災害

    ※2 現状の科学的見地や研究成果、観測データを踏まえて想定される、災害によって建物などの構造物や物体が受ける最大規模の外力

    最近では気候変動などもあり、BCP策定時の想定を超える災害が発生する可能性もあります。
    ただ策定して終わりではなく、日々確認しアップデートしていくことも大切ですね。

    そうですね。その上で事業所ごとの事業継続に関わる「ボトルネック」を特定することも重要になります。
    長野県では、令和元年(2019年)に発生した台風19号により大きな浸水被害が出ました。
    その際にさまざまな企業の経営者の方々とお話しさせていただきました。
    例えば、業界内で競争が激しい卸売業では納品を止めることができないため、営業車を守ることへの優先順位は高くなります。
    一方、特注品を生産する製造業では高価な生産設備を守ることも重要ですが、同業者が助け合う文化があるため、納期を遅らせてもらう合意をすぐに得る、製造に関係するデータの保護など少し異なるアプローチが求められます。
    事業継続にあたっての「ボトルネック」は業種や事業所の運営形態によって大きく異なります。
    BCPは気候といった外的要因だけでなく、内的要因の変化に応じてもアップデートさせていくべきです。

    たしかに、事業継続の重要項目は業種や事業所の運営形態によって異なるものです。
    経営者を筆頭に日頃から災害対策への意識を持つことも重要になりますね。

    そうです。BCPには社長など意思決定者は必ず関与し、従業員も巻き込みながら策定していくことが重要です。
    従業員に任せきりではなく、経営者が現場の声を踏まえながら「ボトルネック」を把握し、災害発生時には適切な判断ができるようになっていなければなりません。

  • 災害発生時に「確実」に機能する「使い慣れた」安否確認システムで体制構築を

    BCPの実効性を高めるためには、安否確認システムなどITツールを活用することも
    重要になってくるのではないでしょうか。

    そうですね。例えば、10数年前に私が所属した職場では、携帯電話の連絡網を使って、トップから末端まで伝達するような訓練を行っていました。
    しかし、いざという時に通信規制などで携帯電話がつながらなくなると、連絡ができなくなってしまいます。
    今は便利なITツールがあるので、確実に安否確認ができるようになりました。
    一方で、従業員の中には自身のコミュニケーションアプリなどプライベートなアカウントを会社に知られたくないと思う方も多数いるとBCP検討の場で聞きました。
    そういったプライバシーに配慮しつつも、従業員全員が安心して使いやすいツールを選定することも大切です。

    従業員のプライバシーへの配慮は非常に重要ですね。
    そのほかに災害時に活用する安否確認システムの選定のポイントはあるのでしょうか。

    災害発生時の安否確認に求められるのは情報伝達の「迅速さ」と「確実性」です。
    そのため、災害が発生した際にも確実に機能する安否確認システムを活用すべきです。
    サーバーダウンで情報が得られない、安否確認ができないといった事象はあってはなりません。
    特に従業員が多ければ多いほど、安否確認の方法をしっかりと考えて体制を構築しておくことが重要です。

    ※ 令和元年台風第19号千曲川災害
    災害時の安否確認システムは日頃から使いやすく使い慣れていることも大事だと思います。

    そうですね。毎年どこかで災害が発生するようになってしまいましたが、自分の事業所の被災はめったに発生しません。
    もしかすると数10年に1回程度しか起こらないかもしれません。
    しかし、その時に突然システムを使おうと思っても、使いこなせません。
    1年に1回の防災訓練だけでは不十分でしょう。
    日常的に別の目的でこういったシステムを使っておくことは大切ですね。

  • 安否確認システムに期待すること

    緊急連絡網・安否確認システム「オクレンジャー」をはじめとする、安否確認システムについて、
    どのような機能があると良いと考えられますか?

    先ほどお話ししたように、従業員の個人情報を収集する際、私的なコミュニケーションツールではプライバシーに課題があります。
    その点でいえば、オクレンジャーは従業員の個人情報に配慮しつつ迅速な安否確認や情報収集ができる点が評価できます。
    また、災害時に「確実」に機能することが重要であるため、サーバーを国内外に分散して設置している点も高評価です。
    防災関連のシステムは、サーバーがダウンすることがないようにする必要があります。
    災害発生時にも「確実」に利用できる信頼性を担保することは、安否確認システムにとって必須だと感じます。

    ありがとうございます。弊社としてはオクレンジャーを通してあらゆる災害対策に貢献したいという思いで
    サービスを開発しているため、気象災害時にも貢献したいと考えています。

    災害大国の日本では、そのような自動配信機能は、特定の情報源での警報をトリガーとして対策を行う場合に非常に有効だと思います。
    BCPを作成する際には、情報収集の方法やトリガーとなる基準を定め、管理者の参集状況などタイムラインごとのアクションを設定していきます。
    そのため、最初に求められるのは迅速な情報収集です。
    特に気象災害は、いかに迅速に情報収集し、いかに確実に指示伝達するかで、その後の被災状況を左右します。
    そうした情報がサービス内に集約され、アラートとして通知されるのは良いアイデアだと思います。
    さらに言えば、従来は3時間先までだった洪水予報は、現在では6時間先までの河川水位を予報するようになりました。
    オクレンジャーでこのような気象防災情報をトリガーとして設定し、自動的に対策指示を出すのは、有効なバックストップ(安全弁)になると考えます。

    最後に、改めて安否確認システムの導入を検討されている方に向けて、
    防災を研究されている立場からアドバイスをお願いします。

    例えば、被災後に災害補償保険を申請する際に、被災した建物や資産の被災状況の写真が必要になります。
    オクレンジャーには掲示板機能があると聞いていますが、被災状況の写真をアップロードして情報共有・集約できるのは非常に有用だと思います。
    さまざまな予期せぬ災害が起こる日本だからこそ、安否確認のほかに付随する機能をあわせ持つシステムの導入を検討していくことが良いと思います。

    たしかに、現在オクレンジャーはさまざまな業界・業種のお客様にご利用いただいていますが、
    必要な機能やどのような運用をするのかはお客様によってさまざまです。
    弊社としてもお客様からのご要望やニーズを拾い上げ、日常の運用から利便性の高い使い方ができるシステムをつくっていきたいと考えています。
    本日はありがとうございました。

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