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安否確認は企業の義務?組織の取り組むべき安全配慮義務とは

企業には従業員の命や安全に配慮する「安全配慮義務」があります。管理職に就いている人や人事総務の担当者など、安全配慮義務の知識を持っている方であればご存じでしょう。しかし、言葉は理解できても内容について詳しく知らないという方もいるでしょう。
企業が従業員への安全配慮義務を果たすには、どのような対策をしたら良いのでしょうか。緊急事態が起きた場合にも従業員が早く安心して働けるように、日頃から安全について話し合ったり対策したりしておくことが大切です。
従業員の安全を守りたいと考えていても、対策が不十分で犠牲者を出してしまった場合、それが原因で訴訟に発展してしまうこともあります。そこで、今回は企業における安全配慮義務や果たすために取り組むべき対策、安否確認などについて紹介します。
01企業における安全配慮義務とは?
安全配慮義務とは、労働契約法第5条の「労働者の安全への配慮」に定められているものです。労働契約には、従業員が生命・身体などの安全を確保しつつ働くことができるように企業が配慮すべきであるとされています。
企業は従業員の労働に対して賃金を支払う義務があります。しかし、賃金を払いさえすれば健康や命に危険が及ぶような環境に就かせていいというわけではありません。企業は働く場所の設備や機械などを安全に配慮した状態に整備し、従業員ができるだけ安全な環境で就業できるために取り組む義務を負っています。
例えば、機械設備の定期点検や巡回時の確認漏れ、作業フローの不備といった安全面に足りない部分があると、従業員が怪我をし、最悪の場合は死亡に至る可能性があります。
また、企業は従業員の心の健康にも気を配らなければなりません。特に多様な働き方が可能になりつつある現代では、メンタル面でのトラブルが原因となり鬱病を発症することも少なくありません。実際に長時間の連続した労働により脳や心臓疾患を発症してしまうケースも報告されています。精神的疲労や身体的疲労が重なれば、過労死に至る危険もあります。
こうした問題は企業と従業員の双方が努力して防止していく必要があります。ここで企業側が負うのが「安全配慮義務」です。
02安全配慮義務を果たすために企業が取り組むべきこと
企業が安全配慮義務を果たすためには、どのような対策をするべきでしょうか。具体的な対策は業界や仕事内容、環境によって異なるため、各企業に委ねられています。ここでは、安全配慮対策をするために押さえておきたいポイントを紹介します。
労働安全衛生管理体制の整備
労働安全衛生法に基づいて、事業所に一定の従業員がいる場合、安全委員会・衛生委員会を設置することが必要とされています。安全委員会は業種によって50人以上、または100人以上とされており、衛生委員会は全ての業種において常時勤務する従業員が50人以上の場合において設置が義務づけられています。
委員会は専門家を含めた企業側と従業員側から成り立ち、労働災害防止の取り組みを行うために労働環境の見直しや整備、意見交換を行い、問題についての話し合いや再発防止などを検討します。健康や安全に関する従業員の意見を企業の措置に反映することが期待されており、事務所の規模に応じて委員会の構成要員を決めて円滑に運営していく必要があります。
危険・健康障害の防止措置、機械・有害物等に関する規制
労働安全衛生規則では、危険防止や健康障害防止のための措置が詳細に定められています。危険防止の対象は以下の通りです。
機械・器具などの設備による危険リスク
・発火性や爆発の可能性がある物、電機や熱等のエネルギーによるリスク
・伐木や荷役等の作業負荷、墜落や土砂が発生する可能性がある場所など
健康障害では、作業で使用する原材料、ガス、粉塵、放射線や温度、騒音などが対象とされます。就業中にこのようなリスクにさらされることがないか確認し、対象項目と必要な措置を明らかにしておきましょう。
労働者の就業全般についての措置
物理的な環境を整えるだけでなく、労働者の就業全般、特に労働時間を管理することも重要です。
働きすぎによる疲労やストレスが病気の原因となり、労働災害に認定されることがあります。「過労死ライン」は、過労が疾患や自殺などに起因するものだと認定される基準のことをいい、発症前の1カ月間に100時間以上の時間外労働の発生や、発症前2~6カ月のうちに平均80時間を超過する時間外労働が生じた際に認められます。基準を超える労働による脳や心臓の疾患を負ったり、死亡に至ったりすると安全配慮義務違反となりえます。最悪の事態が起こる前に、心身ともに健康な状態で働けるよう、労働時間を把握し、調整していく取り組みが必要です。
いじめ・嫌がらせ対策(ハラスメント)
人間関係から起因するストレスやメンタル面での不調へも配慮が必要です。
職場では上下関係や派閥、性別などさまざまな人間関係があります。組織の1人として働く限り、人間関係の悩みは少なからずあるのが一般的ですが、度が過ぎる問題は極力対策していく必要があるでしょう。職場のルールを定め、各自がマナーを守って働くことで、いじめや嫌がらせなどのトラブルを防げる可能性があります。
ハラスメントや差別は、鬱やストレス性疾患など深刻な被害をもたらすことがあります。社内に周知するためにも、教育や研修を取り入れて、全社的に徹底していきましょう。
03企業が安否確認を行うのは義務?
安否確認は地震や事故などの緊急時に、従業員やその家族の安否情報を確認することです。
法的義務としては定められていないため、義務ではありません。しかし、企業の安全対策として重要な位置づけとされています。労働安全衛生法により、企業には従業員に関わる安全配慮義務が課せられているため、その一環として安否確認も対策しておく必要があるでしょう。
人の生命に関わる重要な確認作業のため、正確で迅速に連絡が取れる方法を採用するのがポイントです。また、事業継続計画(BCP)の観点からみても、安否確認は現状を把握して復旧計画や今後の方針を固めるための重要なステップです。平常時から万全な対策や訓練をしておくことで、予測しない事態が起こってもパニックに陥らず従業員の安全を第一に行動することができるでしょう。
04安否確認の目的や必要性
安否確認は企業が社会的責務として、非常事態が発生した際に従業員やその家族の身の安全を確認し、守るために行います。安全配慮義務で定められているように、従業員が心身ともに健康で安全が守られているからこそ安心して仕事に就くことができます。
安全配慮義務の一環として、緊急時の安否確認や行動指針を日頃から対策しておくことは、従業員と企業との間で信頼性を築くことにも繋がります。どのような場合でも企業は従業員の安全を第一に考えていることが伝わるでしょう。
安否確認に関する詳しい情報は下記コラムで詳しく紹介しています。
05安否確認システムの導入でスムーズに
安否確認対策は緊急連絡網を作成して電話やメール、チャット機能などの平常時に利用している連絡手段を使うこともできますが、混乱時でも迅速かつ確実に連絡を取る方法として安否確認システムを導入する方法もあります。
安否確認システムのメリットは、社内のサーバーがダウンしたり電話が使えなくなったりしても機能する点です。災害時には電話が繋がらなくなったり、メールの受信が遅延したりと通常どおりに連絡が取れない可能性が高くなります。大規模災害などで地域や国内が混乱に陥っても、安否確認システムで安定した通信手段を確保しておくと、従業員と連絡が繋がりやすくなるでしょう。
社員の安否を円滑に集計できることも、安否確認システムを導入する利点です。災害などが起こった場合、安否確認の担当者自身が被災していることもあります。もし、スプレッドシートなどを利用して集計している場合は、パソコンを開き、逐一状況を入力しなければなりません。社員数が多ければ多いほど、集計作業をする作業は負担となるでしょう。自動集計機能のついた安否確認システムを利用すれば、回答人数の把握や結果、部署などの所属ごとの分類を表示し、一目で状況を把握できます。
安否確認に特化したシステムは、緊急時を想定しているため、使い方が簡単で従業員にとっても使いやすい連絡手段です。パソコンやスマートフォンなど複数の機器からアクセスできるシステムであれば、緊急事態でも手段を選ばずに連絡することができます。
企業には従業員の心身の健康と安全を守る安全配慮義務が課されています。従業員が安心して仕事に就けるように、安全な仕事環境の提供やいざというときの防災対策の設置などに日頃から取り組むことが重要です。
また安全配慮義務の一環として、災害や事故などの緊急事態における安否確認も行わなければなりません。安否確認は電話やメール、チャット機能などの連絡手段と緊急連絡網の作成によって自社で対策することも可能ですが、専門の安否確認システムを導入することでより確実で迅速な結果を得ることができます。
安否確認システム「オクレンジャー」では、国内外に複数のサーバーを所有しているため、災害時でも安定的に安否確認メッセージのやり取りを維持することが可能です。インターネットがあればスマートフォンのアプリやパソコンなど複数の手段からアクセスできるため、使用場所やツールを問わず簡単に回答できます。企業で安否確認の対策をする際には、是非オクレンジャーを検討してみてはいかがでしょうか。
監修者情報:株式会社パスカル
オクレンジャー ヘルプデスク
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