液状化現象による被害と対策
公開 カテゴリー: 企業の災害対策に関するコラム, 地震に関するコラム
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、震源地から遠く離れた東京千葉など関東地方で液状化現象による甚大な被害が発生しました。今後の発生が懸念されている首都直下地震や南海トラフ巨大地震も、広い範囲で液状化の被害が想定されています。ここでは液状化による被害と対策を紹介します。
液状化現象とは
ゆるく堆積(たいせき)した砂の地盤に強い地震動が加わることで、地層自体が液体状になる現象のことです。液状化が生じると、建物を支える力が失われることにより、比重の大きい建物や橋梁は沈下し、比重の小さい地下埋設管やマンホールなどは浮力で浮き上がります。液状化が発生しやすい場所として、埋立地や干拓地、川を埋めた土地などが挙げられます。また、海沿いで発生しやすいと言われていますが、条件を満たせば内陸の平野部でも発生します。
液状化現象の被害
下の写真は2011年3月11日に発生した東日本大震災により発生した液状化被害の写真です。(写真:国土交通省関東地方整備局出典)
臨海部だけでなく内陸部においても液状化が発生し、住宅が傾く、地面が浮き上がるなどの被害が発生しました。また、木造住宅においては建物重量が軽く基礎が浅いため、傾斜や沈下の被害が多数報告されました。
液状化の備え-建物-
液状化により生活の要となる住居が被害に遭うことは、被災後の健康維持・回復にあたって大きなマイナス要素となります。住居を建てる時に知っておきたい備えをご紹介します。
①液状化の発生を抑える対策~地盤を改良する~
(イラスト:東京都都市整備局出典)
土と固化材を混ぜた円柱状断面の改良体を、基礎スラブ(地中のはり)又は基礎フーチング(逆T型をした基礎底面の部材)直下に杭のような形で配置して地盤を改良する工法です。
建物の周囲を含め、基礎スラブ又は基礎フーチングの直下を全面的にセメント系固化材と原状の土をかくはん混合して薄い層状・板状に改良する工法です。
セメントスラリー(水とセメントの混合液)や薬液(水ガラス系など)を地盤に注入する工法です。
現地盤の土とセメント系固化材とを混合撹拌することで、地中に円柱の改良体の連続壁を造成し、液状化地盤を囲いこむ工法です。
矢板などのパネルを建物の基礎外周部に構築し、液状化地盤を囲い込む工法です。
②液状化の被害を軽減する対策~地盤を改良する~
(イラスト:東京都都市整備局出典)
建物の荷重を底板全体で受け止め、分散して地盤などに伝えることができ、不同沈下や耐震性を増すことが可能になります。基礎底面以下に液状化の発生の可能性のある地層がある場合は、その層を掘削し、砕石などの材料で置き換えを行うことで、液状化による建物の被害を防ぐことができます。
建物荷重を支える力を基礎の底面で確保した上で、沈下量を低減することを目的として、鋼管などの杭を回転貫入又は圧入によって設置する工法です。
お住まいの土地の地盤特性や状況は、行政の窓口やホームページで確認することができます。また、液状化の対策アドバイザーや無料相談所を設けている地域もありますので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
※本記事は、下記ホームページの情報を基に株式会社パスカルが作成しました。
記事監修

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システム開発における30年以上の実績と知見をもとに、使いやすく質の高いサービス提供を続け、140万人以上のお客様にご利用いただいております。企業、病院、官公庁など幅広い企業のBCP対策に貢献し、皆様の安全に貢献しております。
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