建物の震災対策「耐震」
公開 カテゴリー: 企業の災害対策に関するコラム, 地震に関するコラム
1995年に発生した阪神淡路大震災で亡くなった方の約9割が「建物の倒壊」や「家具の転倒による圧死、窒息死」と言われています。有能な防災グッズが数多く出回っている昨今ですが、身を守るために重要な「建物の耐震」について確認していきます。
地震に強いとされる建物の形は「正方形」や「長方形」
建物を上から見たときに、正方形や長方形などシンプルな形であるほど耐震性が高いとされています。その理由は、建物を囲むすべての面が一体しているため、揺れに対して踏ん張ることができるからです。壁面に凸凹があると屋根と床をつなぐ壁の強度が落ち、揺れに耐えきれず、最悪の場合は倒壊する可能性があります。
地震に弱いとされる建物の「特徴」とは
リフォームや増改築した建物
建物の形がL字やコの字型をしている、平屋を二階建てに増改築したという場合、建物の古い部分と新しい部分の境界に耐震強度の差が出るため、地震が起きた際にバランスを崩しやすくなります。
増改築の境界部分の構造を見直し、壁の強度や梁・柱で補強するなどの策が必要です。
一階より二階の面積が広い建物
一階部分に駐車場を作るビルトインガレージなどが該当し、土地を有効活用できることから都市部で人気があります。しかし、一階の壁が二階よりも建物の内側になることで、耐震性が劣る欠点があります。
ビルトインガレージを含むこのような建物は、重量鉄骨を検討するか、一般的な住宅よりコストが掛かりますが強度を確保した構造設計が必要です。
建物内に吹き抜けがある
開放的で明るくおしゃれな空間が作り出せる人気の吹き抜けですが、どうしても柱と壁の量が少なくなるため耐震性も弱くなります。
建物が重量鉄骨や鉄筋コンクリート以外であれば、耐力壁や耐震設計を考える必要があります。
木造建築の耐震性
木造と鉄筋コンクリートを比較すると、材質の強度だけで言えば鉄筋コンクリートが上ですが、地震に対して言えば木造には建物の柔軟性によって揺れを逃がす特徴があり、最新の耐震基準で建てられた木造であれば、大きな地震にも耐えることができます。
実際に、2016年の熊本地震では耐震基準で建てられた木造住宅に関しては震度7を2回観測した地域でも被害が少なく済んだことが報告されています。
耐震と地盤の関係
耐震を見直す上では建物自体の強度のほか、「地盤の状態」も大きく影響します。
地盤の緩い土地では、地震が起こった際に建物の重さに地盤が耐え切れず、破損や倒壊の原因となります。2000年以降の新築は地盤調査が義務付けられていますが、それ以前の建物であれば一度耐震診断や安全な状況であるかを確かめるのが良いでしょう。
お住まいの地域によっては、耐震補強工事や耐震改修リフォーム工事に対して地方自治体が補助金を交付している場合があります。このような制度を活用して、耐震性を見極め、必要に応じて耐震補強を検討することが大切です。
記事監修

株式会社パスカルは法人向け安否確認システム「オクレンジャー」をご提供し、災害時の正確な安否確認と迅速な緊急連絡を実現しています。
システム開発における30年以上の実績と知見をもとに、使いやすく質の高いサービス提供を続け、140万人以上のお客様にご利用いただいております。企業、病院、官公庁など幅広い企業のBCP対策に貢献し、皆様の安全に貢献しております。
- アクセスランキング
-
位
どんな使い方があるの?「緊急連絡網で新型コロナウイルス対策」 -
位
流行型感染症を知る「新型コロナウイルス」 -
位
地震による二次災害 -
位
大地震発生!~そのとき、とるべき行動~ -
位
今後の大地震に関する情報
- 新着記事
-
2022/02/23
急な津波の発生!取るべき行動と従業員の安否確認について解説 -
2022/01/24
「災害用伝言ダイヤル(171)」を知ろう -
2021/12/27
寒波襲来!大雪発生時、企業がとるべき対応は? -
2021/12/15
コンティンジェンシープランとは?BCPとの違いや策定方法、ポイントを解説 -
2021/12/15
EMIS(広域災害救急医療情報システム)とは?機能や運用について解説